実験住宅と年末の御挨拶

まちあっという間に2017年も終わろうとしていますね。
前回、前々回と京都に行ったお話をしたかと思いますが、京都大阪で2つの実験住宅を見てきました。

ひとつめは京都の山崎にある
聴竹居
申込みがギリギリになってしまったのですが、なんとか入れて頂きました。
今から90年ほど前に藤井厚二によって設計された建物です。

洋風のものも入ってきたこの時代に和の良さと洋の良さを上手く取り入れながら
この時代にあった新しい快適に暮らせる住宅とはということと追求されており、
その工夫が随所に見られます。
そして環境に配慮した工夫をしつつも、細部にまでしっかりこだわったデザイン、ディテール、
そのこだわりのデザインも理論に基づいた洗練されたものとなっていました。
なかなか見応えあっていろいろ考えさせられました。本当に見に行って良かった建物のひとつです。

写真はたくさん撮ったのですが、SNSやブログ等で投稿することは禁止されていますので
詳しくは上記サイトをご覧下さいませ。

次に大阪へ移動し、
エネマネハウス2017

へ行ってきました。

まずは蒸暑地域を対象とした、通風・日射遮蔽などを考慮したテラスハウス形式の住宅モデルである
首都大学東京のモデル住宅 「ZEH Village ~アジア蒸暑気候下の町屋~」

中の様子はこんな感じ。
上に設置されている窓でこもった熱を排出します。
床がすのこ状になっていたので、「掃除はどの様にしますか」
と尋ねたところ、「一部取り外し出来る様にして掃除します」との事。
でもちょっと大変ですね。

次に早稲田大学・芝浦工業大学のモデル住宅 「この郊外の片隅に ~わたしと家の約80年のものがたり~」


この案件は築40年の工業化住宅を80年以上延命させる改修案との事。
前面に太陽光パネルが並びます。

右は「ロッジア」と呼ばれる自然エネルギーを取り込むのに有効な空間を介して断熱されたコア部分の
温熱環境がよくなる様に配置されています。
既存の梁部材が露出で見えてます。
サイトを見てもらうと分かるのですが、全体的にオープンな空間となっております。
指向性蓄熱材による床暖房のようなものや床下チャンバー空調、他いろんな工夫がされていますので
是非サイトでチェックしてみてください。

次は近畿大学 「エネマネRハウス ~窓辺のカートリッジとルームガーデンで生まれ変わるすまいとコミュニティ」

外観はこんな感じです。
既存住宅のリノベーションによって、思い出の空間を継承しながら高性能で創造的な暮らしを提供するということみたいです。
窓辺のカートリッジといわれる部分が増築部分で前に飛び出しているガラス張りの部分です。

窓辺のカートリッジ部分は内部からみると右手部分のような感じです。。
2階からみると左のような感じ。スケルトンになってます。
上の鉢植えは脚立で置いたのかな?地震時はあの鉢植えが落ちてこないかどうか不安になりますね。
断熱する部分、しない部分を分けて改修してますのでサイトを見て確認してみてください。

次に京都大学 「まちや+こあ ~ZEHコアによる町家・コミュニティ再生モデルの提案」

見た目は改修したんだろうなというこぎれいな町屋型の住宅です。

左が土間部分。床はエアロゲル土間タイル。
エアロゲルという断熱材と土間材を入れたもので学生自身がタイル製作したみたいですが、工期が少なかったせいか、
養生機関が短く、割れが入ってしまったみたいです。
ちなみにこのエアロゲル、建具等にも利用してました。
エアロゲルを使った建具って…という詳しい内容はサイトにてご確認ください。

最後に武庫川女子大学 「キセカエハウス ~伝統的住環境技術を用いた対話のしつらえ~」

唯一の女子大の作品。
住まいの「キセカエ」を可能とすることで、省エネルギーかつ健康で快適な住空間を実現との事です。

鶴橋で焼肉を食べる時間を確保するため、あまり時間がなくて残念でしたが、
ここの大きな特徴は屋根に設置された可動式断熱パネルではないかと思います。
さてどんなことになっているかはサイトにて確認してくださいませ。

全部を見終わった後に「あなたはどの住宅に住みたいですか?」というアンケートに答えます。
その質問ならここかなという大学に投票したらその大学が最優秀賞でした。
他の質問なら最優秀賞が違っていたかもしれませんね。
学生と企業が共にチャレンジしたエネマネハウス。
なかなか見応えありました。
学生時代に自分たちが考えたことが実際のかたちになる経験を積むことが出来るのは今後の学生たちにとって
いいものではないかと思いました。
プランニングの考え方としては共通するものが多いように感じました。



さて、今年もお世話になりました。
今年はいままで一生懸命実をつけるべく頑張ってきたことがかたちになりはじめる第一歩を踏み出せた
1年だったように思います。
これも今まで出会ったみなさまのおかげです。
今年はしっかりとかたちをして見せることが出来る様、頑張りたいと思います。
では来年も引き続きよろしくお願い致します。